光学薄膜用途で使用される主要製品の中でも基本的な物質をピックアップして屈折率別にご紹介いたします。
●高屈折率材料 n ≧ 2
高屈折率材料として良く使用されるTiやZrの酸化物の他、紫外・赤外域で使用されるHfO2を取り扱っております。右表に示した製品以外でも、CeO2、Nb2O5などを販売しております。
高屈折率材料は、選択の幅が広いですが薄膜の用途にあったものを選択する必要があります。光学特性以外にも蒸着時の挙動や膜質など必要な情報がありましたら、お問い合わせください。
●中間屈折率材料 n=1.6 ~ 1.8
金属酸化物薄膜で、中間屈折率となる薄膜を作るには、Al2O3、Y2O3を使用するか、混合物材料を使用することになります。
ほとんどの場合、Al2O3で対応可能ですが、光学特性の仕様によってはY2O3や混合物材料を使用することもあります。
●低屈折率材料 n < 1.6
低屈折率膜の蒸着材料は、SiO2とMgF2を基材の種類により使い分けることになります。MgF2は成膜時に基板加熱ができる基材の時に良く使用されます。
MgF2は、屈折率がSiO2より低いというメリットがありますが、成膜時に加熱できないと膜が弱くなること、成膜中にスプラッシュが発生しやすいなどというデメリットもあります。
光学用途の標準品の成膜時の挙動や薄膜特性などの問題点に対応するために開発した製品のご紹介いたします。
●SA-5
SiO2ベースの混合物材料で低屈折率材料(屈折率 1.48)として使用できます。
プラスチック基板向けに使用されることが多い製品です。SiO2と比較して蒸着時の薄膜応力が低いため基材との密着性の向上が期待できます。
●ZR-5
ZrO2ベースの混合物材料です。ZrO2蒸着時のアウトガス低減やZrO2薄膜が不均質となる現象を軽減できる製品となります。
屈折率は2.15(波長550nm)程度で、ZrO2薄膜よりやや高い値になります。
●KISAN-JXシリーズ
ZrO2、TiO2、Al2O3、Ta2O5などをベースとした脱ガスタイプの材料や混合物材料を取り扱っております。
Ta2O5ベースのJX5は、Ta2O5と比較して吸収の少ない膜の作製が可能で、基材との密着力についても向上することができます。
JX1~4までの製品も単成分の物質で発生する問題点を改善した製品となっております。
●MgF2 特注品
成膜中のスプラッシュの発生によりレンズの外観不良が問題となることが多いMgF2から、スプラッシュの原因と考えられる要素をできる限り排除した製品です。
量産体制は整っておらず数キロ単位での販売となりますが、ユーザー様からは高い評価をいただいております。光学特性は通常のMgF2薄膜と同じで、レンズの外観不良対策の製品です。
ここでご紹介した製品以外にも、お客様のご要望にお答えできる各種製品を取り扱っております。 是非、お問い合わせください。
透明導電膜や撥水・撥油膜、親水膜などを作製する製品についてご紹介いたします。
●I.T.O.(Indium Tin Oxide)
用途:レンズ帯電防止、LED透明電極
特徴:スプラッシュ低減、Sn濃度調整可能
タイプ:粒状・ペレット
●SnO2(Tin Oxide)
用途:レンズ帯電防止
特徴:Sb2O3添加のA.T.O.等も製造可能
タイプ:粒状・ペレット
●HA-2(撥水材料), KF-1(撥水・油材料)
用途:レンズ表面の撥水・撥油(防汚)、滑り性付与
特徴:薬品の含浸量調整可能
タイプ:撥水薬品を含浸させた各種素材
(セラミックス、ポーラス金属)でのご提供となります。
●SiO S(Silicon Oxide)
用途:水蒸気バリア膜 プラスチック基板と薄膜のプライマー
特徴:蒸着時のスプラッシュの低減
タイプ:ペレット・粒状
●開発品(詳細は技術情報のページに記載)
親水膜作製用材料 K-RD-Xシリーズ
撥水膜作製用材料 KA-SP
抗菌膜作製用材料 SiO2(AG)シリーズ
これらの製品以外にもお客様が蒸着膜で実現したい機能があればご相談ください。
素原料の選定から蒸着膜の作製・評価までご協力いたします。